酒造米
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酒造米

米は清酒の最も重要な原料です。大粒で心白(米粒の中心に白色不透明部分のあるもの)があり、蒸米にしてふっくらと弾力のあるものが酒造りに適しているといえます。
当社では、岡山県産の朝日米やアケボノを主に使用しています。

精米
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精米

酒造りは玄米の精米から始まります。通常の飯米は精米歩合(玄米に対しての白米の割合)が90~92%ですが、酒造りでは70%程度まで精米します。吟醸酒など高品質の清酒の場合、精米歩合が35~50%まで達することがあります。
当社では、自主流通米を専門の業者に委託精米して使用しています。

洗米
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洗米

精米した米(白米)は洗米します。洗米は白米の表層に付着する糠を洗い落とすためで、少量の場合や吟醸酒用の白米などは手洗いをします。次に浸漬して吸水させます。これはふんわりとした蒸米を造るためです。

蒸米
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蒸米

浸漬後は水切りをして、甑(こしき)や蒸米器で米を蒸します。米を蒸す理由は、澱粉をアルファー化して麹菌の繁殖を容易にしたり、麹による澱粉の消化を容易にするためです。蒸し時間は、甑で約50分、蒸米器で約30分です。

麹
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昔から酒造りでは、「一・麹、二・もと、三・造り」と言って、麹造りは酒造りで最も大切な工程と考えられてきました。今でもその伝統は生き続けています。
麹の役割は、蒸米をブドウ糖にまで分解(糖化作用という)し、酵母によってアルコール発酵を行わせ易くすることです。
参考までに、穀類を糖化する手段として、西洋では麦芽が使われ、東洋では麹が使われています。その中でも日本の清酒麹は、黄麹菌を使います。

仕込水
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仕込水

酒づくりの良し悪しは仕込水が大きく影響します。良い水とは、鉄分やアンモニア・重金属がなく、カリウム・リン酸・カルシウムを適当に含む水です。
当社では、水道水(吉井川の伏流水)を濾過して使用しています。

酒母
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酒母

麹に蒸米と水に酵母を加え、酵母を増殖したものが酒母です。酒母は酒の母という意味ですが、酒の元と言うことから「もと」ともいいます。
古くは「生もと」といって酒母仕込み後、生育している乳酸菌の乳酸によって雑菌の繁殖を防止し、酵母のみを増殖させる方法でしたが、現在では最初から乳酸を添加する「速醸酒母」が主流になっています。生もとでは30日以上かかるのに対して、乳酸添加方式の速醸では半分以下の日数で出来るのです。

もろみ
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もろみ

もろみは三段で仕込みます。初日は酒母に麹と水をまず仕込み、次に冷却した蒸米を加えて仕込みます(初添え)。二日目は酵母の増殖を促すために、一日仕込みを休みます。三日目は仲添え、四日目は留添えと量を増やしながら仕込みます。このように、一本のもろみを仕込むのに四日かかるわけです。

もろみ
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もろみ

もろみは清酒の場合、糖化とアルコール発酵が同時に行われることから、「並行複発酵」と呼ばれ、清酒の大きな特徴のひとつと言われています(他の醸造酒(ワイン、ビール、紹興酒など)は単発酵)。
留添え後20日間前後で「熟成もろみ」になり、アルコール(原料アルコール)を添加します。なお、純米酒などはアルコールを添加しません。

上槽
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上槽

もろみは留添え後、約20日間で搾り、清酒と固形部分の粕に分けます。搾ることを上槽(あげふね)といい、主に自動圧搾機で処理しています。

酒粕
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酒粕

酒粕は、白米1,000㎏当たり約25%(250㎏)出来ます。高品質の吟醸酒などでは40~60%もの粕が出ます。

濾過
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濾過

搾った清酒は、清澄、脱色と香味の調整のため、少量の活性炭を加えて濾過します。

原酒・生酒
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原酒・生酒

こうして出来上がった原酒(生酒)は、アルコール分が17~20%位が普通です。

火入
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火入

火入れは、生酒の殺菌と生酒中に残存している酵素の働きを止めて香味の熟成を図る二つの目的があります。
火入れの方法は、蛇管やプレート式熱交換機を使っての熱殺菌です。火入れ温度は62~65℃で行います。清酒には防腐剤などを一切使用しないので、十分な熱殺菌の必要があります。

貯蔵
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貯蔵

火入れ後は、蔵の中のタンクで貯蔵して熟成させます。熟成が進むに従って芳醇な香りになり、味もまろやかになっていきます。

調合
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調合

貯蔵して熟成させた清酒をビン詰め場に移動し、瓶詰めに備えます。この際、何種類のタンクから調合して酒質を一定のものにします。

濾過
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濾過

調合した清酒に少量の活性炭を加えて、ビン詰め前に今一度濾過をして清澄、脱色と香味の調整を行います。

割水・瓶詰め
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割水・瓶詰め

原酒で出荷するものを除いて、割水をして約15%に調整してビン詰めします。
ビン詰め時には、生酒や生詰めを除き約62℃の熱殺菌(ビン燗)をして保存の出来る製品にし、レッテルやシールを貼付してすべて完了します。

製品
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製品

このような工程で製品が出来上がります。作り手の熱い思いが詰まった清酒「千寿」をご賞味いただければ幸いでございます。